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2025.02.08

まんまる、ちかくにいるよ。 | 写真家・菊池貴大 | ISSUE #41

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Photo by TAKAHIRO

世界中のクリエーターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。『ISSUE #41』では、cizucu主宰のフォトコンテストのオフィシャルキュレーターも務めた写真家・菊池貴大さんの個展「まんまる、ちかくにいるよ。」にかけた想いをご紹介します。

INFORMATION

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Takahiro Kikuchi / 菊池貴大

1995年生まれ。広島出身。神戸大学大学院修士卒。 メーカーで開発に携わる傍ら、写真家として俳優/モデル/アーティストの撮影、企業とのコラボ、ブランドのLOOKの撮影などを手掛ける。

旅をライフワークとし、様々な土地を訪れながら、そこに暮らす人々や日常の景色を撮り続けている。 2023年初個展「Last Days」開催。

cizucu:TAKAHIRO Instagram:@t.k___photo

先に「展示をする」と決めて動いた

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Photo by TAKAHIRO

cizucu
2年ぶりとなる個展、おめでとうございます!前回からしばらく時間が経過しましたが、今回展示を開催すると決めた背景にある想いを教えてください。


菊池貴大
今回の展示をしようと決めたのは、昨年の2月、自分が29歳になったタイミングでした。20代で見てきた沢山の景色や色んな想いを振り返り、またこれから始まる新しい10年をどう過ごすか、何を大切にしていきたいのか。

そうした様々な問いに答えるために、自分の内面にベクトルを向け、そこから出てきた感情をまとめて展示にしようと思いました。

先に「展示をする」と決めて動いたことで、何気なく過ごしてしまいそうな1年を、より大切に過ごすことができました。
そこで得られたものが沢山あったので、あのとき展示をすると決めてよかったなと思います。

まんまる、ちかくにいるよ。

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cizucu
今回のタイトル「まんまる、ちかくにいるよ」に込めた想いを教えてください。


菊池貴大
今回テーマにしたのは「日常」です。そのテーマから色々な言葉を連想し、タイトルを考えていきました。私たちの生活の中で、当たり前になっている ”もの” や ”こと”。それが私の思う ”日常” です。それは、旅先で特別に映る景色も、誰かにとっての ”日常” であるということです。

逆の視点からみると、自分の普段見ている景色の中にも、気に留めていないだけで一瞬一瞬小さく輝いているものがあるということでもあります。改めて、その良さをもっと見つけていきたいと思うようになりました。

その経験から、日常は繋がって(まんまる)いること。そして、自分の意識だけで近くも遠くもなるもので、それをもっと身近に感じられるようにという希望を込めて、今回の展示に「まんまる、ちかくにいるよ。」というタイトルをつけました。


cizucu
メインビジュアル(手描き文字とおもちゃ)も印象的です。こちらを選ばれたのはなぜですか?


菊池貴大
この写真は、道でふと見つけた、子供が忘れていった落とし物で、何気なくシャッターを切った一枚でした。写真を振り返っている中で、この一枚が誰もの日常にあった見たことのある景色のように感じたのが、選んだ大きな理由の一つです。

この写真をメインビジュアルに決めて、そこからタイトルも一緒に考えていきました。

”写る”ということを当たり前にしない

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Photo by TAKAHIRO

cizucu
「フィルムで日常を収めた風景写真」とのことですが、デジタルでも撮影されていた菊池さんがフィルム写真で展示を行うことの意味はいったいどういったところにありますか?


菊池貴大
テーマから構想を練っている中で、29歳になってすぐの頃、たまたま読んだ一冊の本がきっかけです。写真家である菅原一剛さんが書かれた「写真がもっと好きになる」という本なのですが、その中の一節に「“写る”ことが当たり前に感じたら、フィルムで撮ってみよう。」という言葉が書かれています。

それだけでピンとくる人は少ないかもしれません。スマホが普及し、今では誰でもすぐ、簡単に写真を撮ることができるようになりました。便利な世の中になった反面、”良く”写っていることが重要であり、“良い”写真以外は残さないということが普通になったように思います。

しかし、フィルムカメラで撮るのが当たり前だった時代からすれば、現像するまで、どう”写っている”か自体わからず、“写っている”こと、ただそれだけで価値なんだとこの本は教えてくれました。デジタルカメラで写真を撮り続けて、いつしか”写る”ことに対して、徐々にありがたみを感じられなくなっていた自分にとって、ハッとさせられる言葉でした。

”写る”ということを当たり前にしないという想いを込め、今回の展示はフィルム写真のみで行おうと決めました。

いつもよりちょっと、いつもの景色に目を向ける

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Photo by TAKAHIRO

cizucu
あらためて、今回の展示の見どころや、来場予定の方へメッセージがあれば教えてください。


菊池貴大
今回の展示は、私自身が様々な土地を訪れ、そこで感じた人々の身近にある景色がベースとなっており、その所々に私の視点を織り交ぜています。行ったことがないまちの景色でも、どこか身近に感じてもらえたり、何か気づきに繋がるようにと試行錯誤しました。

見に来てくださった方々がいつもよりちょっとだけ、いつもの景色に目を向けながら帰ってみる。 そんなきっかけになれば、嬉しいです。

写真展 情報

菊池貴大 写真展
「まんまる、ちかくにいるよ。」

【京都】
会期:2025年2月8日(土)- 11日(火・祝)
会場:Galley Ann 〒600-8056 京都市下京区高辻通り麩屋町西入る雁金町170

2月8日(土)12:00-19:00
2月9日(日)11:00-19:00
2月10日(月)11:00-19:00
2月11日(火•祝)11:00-17:00

⁡ 【東京】
会期:2025年2月21日(金)- 24日(月•祝)
会場:zakura 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町14-5-103

2月21日(金)13:00-21:00
2月22日(土)11:00-20:00
2月23日(日)11:00-20:00
2月24日(月•祝)11:00-17:00

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