近年、訪日観光客の増加に伴い、海外からさまざまなフィルムが日本に持ち込まれるようになっています。しかし、中には現像時に注意が必要なフィルムも含まれており、フィルム現像業者やクリエイターのみなさんに注意を促したいと思います。
フィルムの外観と中身が違っていた?
先日「八百富写真機店」で起きたことが〈X〉で話題になっています。現像依頼があったレンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)が、その外観は「Kodak」でありながら、中には詰め替えられたシネフィルムが入っていたのです。
適切な現像処理の重要性
今回持ち込まれたレンズ付きフィルムには「ECN-2」と書かれており、適切な処理方法が明示されていたため、事前に対策を取ることができました。しかし、忙しい現場では、こうした注意点を見逃してしまう可能性もあります。
模造品のフィルムに注意
フィルムの価格高騰や入手難の影響で、映画用のシネフィルムを35mmのパトローネに巻き直して再販するビジネスが増えています。シネフィルムには「カーボン=リムジェット層」が塗られており、これを除去するための「前浴」が必要です。この工程を怠ると、現像液が汚染されるだけでなく、フィルム自体の現像も正常に行えません。
シネフィルムの現像方法
シネフィルムの現像には「前浴」と呼ばれる、カーボン層を溶かすためのアルカリ性水溶液での洗浄が必要です。その後、カラーネガの基本的な現像工程(ECN-2)を経て現像済みネガが出来上がります。この前浴設備は専用現像所で取り扱う必要があり、通常のミニラボでは対応が難しい場合があります。
事前に前浴が施されたシネフィルムも存在
すべてのシネフィルムが問題を引き起こすわけではありません。事前に前浴が施され、通常の現像工程に適した状態で販売されているものもあります。しかし、確認作業が不十分な場合や、模造品が混在する現在の状態では、現像時のトラブルを未然に防ぐための注意が必要です。