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2023.11.12

融合する視覚の探究 | 芸大生・Momoko | ISSUE #17

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世界中のクリエイターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。『ISSUE #17』では、視覚表現を通して、独自の作品表現・デザインを追求する Momokoさんの世界観を覗き込む。

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©︎ Shimamura Momoko |Momokoさんがデザインした作品

グラフィックとグラフィックを重ねたり、よく多重露光させた写真を撮る。アナログとデジタルの間、記録と記憶の間を模索している感覚。

京都芸術大学芸術学部で情報デザインおよび視覚表現を専攻するMomokoさんは、その独自の視点と深い洞察力で、写真の世界に新たな息吹をもたらしている。彼女の才能と探究心は、作品に生き生きと表れており、観る者を魅了する。

多様な表現活動を好む友人に囲まれ、彼女のクリエイティビティはその交流の中で形作られている。デザインを学びながらも、彼女は自らをデザイナーや写真家とは明言しない。しかし、視覚情報を通して感情やメッセージを伝えるという志は不変である。

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©︎ Shimamura Momoko

「記録と記憶が交差する点で、私は表現の可能性を見出しているのかもしれません。」彼女はそう語る。写真が捉える情報は構造的には記録の意味を持つが、フィルムのネガであれ、iPhoneであれ、本来見ているはずの情報とは、何か異なった加工が行われていると捉えている。

写真は、記憶を記録しているのではなく、記録を通して過去と現在が重なる点で記憶を体現することではないかと考え、記録と記憶の間にある写真を作り出そうと試行錯誤を繰り返す。

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©︎ Shimamura Momoko

その探求心は、ポートレート作品にも現れている。

「人物の写真を撮るとき、自分の中では期待する仕上がりのイメージがありながらも、できるだけ被写体のありのままを捉えようと意識する」と話すmomokoさん。被写体の雰囲気を大切にしつつも、彼女の感性とイメージが融合した写真を追求しているのだ。

好奇心と想像力の源となるもの

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©︎ Shimamura Momoko

Momokoさんに、日ごろから好きな作品を聞くと、「ちびまる子ちゃん」と「コジコジ」などの作品で著名なさくらももこさんの漫画やエッセイが好きだと話してくれた。確かに、momokoさんは、少し大人びたちびまる子ちゃんと重なるような穏やかな雰囲気がある。豊かな好奇心と想像力の源がわかったような気になった。

彼女は今、大学の学業と並行し、京都にある写真ラボ〈Photolabo Hibi〉で働いている。「コロナが明けてから、以前よりも色んな場所で撮られたフィルムが現像依頼されていることを肌で感じられます。」と嬉しそうに話す。検品や接客をする中、様々な写真家の作品に触れ、毎日新たな視点から世界を眺めることは、きっと、かけがえのない時間になるだろう。

大学に入学してからは、Adobe Illustratorをはじめ、専門的な3DのCGを含むイメージ編集ソフトウェアの基礎を学び、アイデアを形にする技術を身につけているmomokoさん。奇抜なアイデアと技術が掛け合わせた彼女の表現が今後、どのように研ぎ澄まされていくか楽しみだ。

INFORMATION

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Shimamura Momoko

京都芸術大学芸術学部情報デザイン学科ビジュアルコミュニケーションコース在学中。同時にフリーランスとしても、デザインの仕事も受けながら、アナログとデジタル技術の両方を応用した作品を制作している。

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