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2023.11.06

まだ知らない中判カメラの世界の魅力 | Release #36

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道具が変われば、作品も変わる。

写真芸術は、他のアートフォームと比較して、使用される道具の特性が作品に大きく反映される分野であると言えるかもしれません。標準的な35mmフィルムの世界から、新しい視覚の世界へ飛び込みたい方へおすすめする中判カメラ。今回は、中判カメラのもたらす独特の魅力と、それに没頭する楽しさについて、その魅惑の深みに触れていきます。

シャッターを切る前に、立ち止まり観察する

中判カメラは35mmフィルムカメラよりも重く、自動の巻き上げ機能がないため、撮影のスピードが自然とゆっくりになります。また、二眼レフをはじめとする一部の中判カメラは、目線ではなく、上から覗き込むウエストレベルのファインダーを採択しており、広い鏡を通して被写体をじっくり観察することができます。

こういった撮影の複雑さが写真を多く撮るようなスナップ感覚を好む方には、少々違和感に感じられるかもしれません。しかし、見方を変えれば、それぞれの写真に時間をかけて、構図や露出を考慮する時間が増えると捉えることもできます。操作に慣れてしまえば、一枚一枚、ゆっくりと撮影できる中判カメラの世界をより楽しむことができるでしょう。

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ウエストレベルのファインダー

写真思考の時間が拡がる

シャッターを切る回数が減ると、もちろん残る写真の枚数も減る。必然的に写真1枚に対する感じ方も変化します。一枚一枚の写真に時間を費やして見返すことができ、シャッターを切った心の動機をゆっくりと振り返られます。一度、中判カメラを始めると、カメラを手にしていない時間にも、写真的な物事を見て、想いを馳せらせるように変わる姿に気づくでしょう。こうした考える時間を通して、撮影へのアプローチがより深いものになっていきます。

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Image by sentimental_jong

繊細なディテールを捉える技術

中判カメラの利点の一つは、フィルムの大きさ。35mmの約2倍異以上のサイズがある中判フィルムのフォーマットは、より細部まで写しとることができ、少ないノイズと滑らかなトーンを描きます。中判フィルムで撮影された写真は35mmフィルムとは比べものにならないアウラを放ちます。また、中判カメラのレンズは35mmフィルムカメラのレンズよりも高品質なものが多く、その分、高価でレンズの交換性があまりありませんが、作風に一貫性が生まれることも中判の魅力となっています。

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Image by sentimental_jong

正方形でバランスをとる

二眼レフやハッセルブラッドを代表とする中判カメラの多くは6×6の正方形のフォーマットを採択していることが多く、いわゆる「ましかく写真」が撮れます。正方形は、完璧にバランスの取れた形状として、支配的な軸(水平または垂直)が存在しないため、視線が円を描くように全体に向き、視覚的に安定した落ち着きを生み出します。

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Image by sentimental_jong

デジタル、フィルム問わず、、Bronica、Yashica、Fujiなど中判カメラは高価な印象がありますが、その他中華製の二眼レフやLomographyの「Diana F+」など比較的に安く始められる中古カメラもあります。予算を気にする方にとって、まず手軽にはじめられる選択肢でしょう。

一度、ハマると抜け出せない中判カメラの世界にぜひ!

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