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2023.08.16

自分を写し残す行為、セルフィ―の意味って深い! | Release #14

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皆さんは、セルフィーをどんなシーンで撮影しますか? 編集部のメンバーは、久しぶりに友人と再会した際や、ビール片手に楽しい時間を過ごした後の別れ際など、特別な瞬間に友人とのセルフィーを撮影します。セルフィーをSNSに投稿し、日記のように振り返ることは、多くの人にとって日常的な行為なのではないでしょうか。

この当たり前に撮っているセルフィ―、写真としての意味を考察してみると興味深いかもしれません。

現存する最古のセルフィ―

少しだけ、歴史の話。

現存する最古のセルフィ―は、1839年に制作されたロバート・コーネリアスによる自己肖像写真です。この写真は、当時の写真技法であるダゲレオタイプ(銀板写真)を用いて撮影されました。この作品は、その独自性と歴史的重要性により、セルフィーの起源として注目されています。
1839年当時の撮影技術では、露光に長時間を要し、自己肖像を撮影すること自体が非常に困難でした。このような技術的限界から19世紀の人々の感覚では「写真を撮る」こと自体が一つのイベントであり、「自らを撮影する」という知覚体験が物珍しかったと推測されます。

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©︎ Cornelius, Robert, 1809-1893「ロバート・コーネリアスによる自己肖像写真」

カメラの小型化は必然だった

撮影すること自体が一つの一大イベントだった初期の撮影技術。しかし、のちに35mmフィルムの開発、それに伴うカメラの小型化により、写真はいつでも、どこでも撮影し、記録できるメディアとしての価値を高めます。『決定的瞬間』の作者である〈アンリ・カルティエ=ブレッソン〉をはじめとする写真家たちが登場した背景には、こうしたカメラ技術の変化が伴っています。写真は、一瞬を残せる革新的で新たなメディアとして、20世紀当時の人々に経験したことない視点を提供しました。

鏡の反射を応用した自撮り構図は1940年代からあった?

鏡の前に立ち、反射している自分をスマートフォンで撮った写真。毎日来ている服やその日の表情を残すために、自分自身を撮影する。こうした写真の構図は実は昔にもあった撮影へのアプローチです。

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撮影者不明 

1940年代に撮影されたと思われるこの写真、鏡の前にフィルムの一眼レフを設置し、恋人と自分を写真に残しています。スマートフォンがある今のように毎日撮影できる写真ではないと思われますが、少なくともカメラの技術的進化に伴い写真がより日常的な媒体となり、撮影行為の意味合いも変化したと考えられます。

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©︎ Balthazar Korab Studios, Ltd

鏡の前でポーズを構える。これらは一種の自撮りとも言えるアプローチであります。まるで自画像のように写真を通して、アイデンティティの探求をすること。この頃からは、写真を通して自己を残し、自己を表現するという感覚が芽生えたと考えられます。

ソーシャルメディアと合わさり、自撮りは文化に

自撮りという新たな知覚体験は、個人が自分自身を写真を通じて表現する方法として深い意味を持ちます。フィルム時代から、デジタルへ、今や自撮りは、スマートフォンのモニターで撮影者自身が表情やポーズを確認しながら撮影することができます。それらの写真をソーシャルメディアを活用し、共有、相互確認できるシステムは、より自己の拡張を促しました。

変わらない自己表現への衝動

いかがでしたか。セルフィーは、私たちの日常に溶け込んでおり、特別な瞬間や普段の些細な出来事を記録し、共有する手段として無意識に用いられています。しかし、自撮りの誕生には、カメラの技術的進化が必然的に必要でした。また、残された写真を通して、自分を残すという自己表現への欲求は、100年前も今も大きく変わらず、興味深く心が暖まりました。

きっと、これからさらなる技術的な進化や社会的な変化とともに、私たちが自己表現をする方法も変わるでしょうが。自撮りに慣れている私たちは気づかないけれども、実はテクノロジーは、私たちが自己理解、自己表現をする新たな手段をもたらしました。

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