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2024.03.03

心を通わせる写真表現を見つけて、アートブックフェア〈#Images大阪2024〉| ISSUE #26

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写真一枚に、どれほどの物語が宿ることができるでしょうか?

大阪で開催されるアートブックフェア〈#Images大阪2024〉は、そんな写真の力を信じる人々が集う場所です。

アートブックフェア〈#Images大阪2024〉

〈#Images大阪2024〉は、オフラインコミュニティ〈PiX Cypher〉が主催する、写真を中心としたアートブックの展示会です。写真集や個人制作のブック、ダミーブックが展示され、参加する写真家やアーティストにとって、自分たちの作品を通じて概念や思いを表現する貴重な場となっています。

展示会は、作品の観賞だけでなく、制作者と観客との間での対話や、写真表現に関する深い理解を促す場を提供することを目指しています。

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会期中の様子|写真集を手に取り自由に意見交換できるカジュアルな空気感が印象深い

先日のPiX Cypherの代表・高野さんへのインタビューを機に、cizucu編集部は〈#Images大阪2024〉のイベント会場に実際に足を運びました。当日は、100冊を超える写真集が一堂に会し、製作者たちと直接対話する貴重な機会が提供され、ニュートラルで開かれた空間で繰り広げられる、写真に対する情熱的なトークに深く感動しました。

今回は、イベントに参加した出展者数名から、彼らの日常の活動やイベントの雰囲気についてお話を伺いました。

本に残すことをサポートする | 出版レーベル〈moment〉

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写真出版レーベル〈moment〉

関西を拠点に活動する写真出版レーベル〈moment〉は、プロのカメラマン、ハヤシさんによって設立されました。「個展はその瞬間瞬間が生き生きとしていて素晴らしいが、終わりが来てしまうと、再びその作品に触れるのが難しくなる。だから、本にして残すことに大きな価値がある」とハヤシさんは語ります。

設立1年余りで24冊の写真集を発表し、その速さと質で注目を集めます。独特のデザインや映画パンフレットを連想させる作品もあり、迅速な制作プロセスを通して、物質としての作品を残すことにフォーカスされています。

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〈moment〉代表のハヤシさんが製本された写真集

アーティストや作家にとって、写真集の編集や製本は難題です。〈moment〉はこのプロセスをサポートし、創作のアウトプットを容易にします。SNSの即時性とは異なり、時間をかけて楽しめる作品を残すこと。カジュアルに残るアウトプットの手助けは、表現者側からしてもすごく有難いことでしょう。

INFORMATION

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moment

2022年9月に立ち上がった出版レーベル。 関西・神戸を中心に写真作家が手がけてきた写真作品をフォトzineという形式にまとめ新たな展開を図るとともに作品をアーカイブしていくこと目的として活動している。

HP:https://momentbook.net/

日本の祭りを追い続けて | 写真家・ミスミタクマ『祭縁』

写真家・ミスミさんは、平日はWebサイトやアプリの開発に携わり、週末はストリートフォトやポートレート、風景など、目に映るすべてを被写体として捉える写真家です。今回の〈#Images大阪2024〉で展示された写真集『祭縁』は、半年にわたる日本全国の祭り巡りから生まれた作品の中間報告です。

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写真集『祭縁』

数多くある写真たちの中で、特に印象深い一枚は、福岡の祭りで撮影したもの。「久しぶりに開催された祭りでの、人々の再会と喜びの瞬間が強烈に印象に残りました。そこにいた人たちは、一時の悩みを忘れ、純粋にその瞬間を楽しんでいるように見えました。」と、ミスミさんにとって写真を通じて人々の心のつながりを捉える重要性を再認識し〈祭縁〉というテーマに巡り合った瞬間でした。

祭りの写真を撮影する過程で、彼は多くの”初めて”に挑戦しました。「祭りの演者への直接的な声掛けから撮影許可を得ることができ、その結果得られた写真は非常に貴重なものとなりました。これまで遠慮がちだった撮影スタイルから、人々と直接関わりながら撮影することの大切さを学びました。」と振り返ります。

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写真集『祭縁』の表紙になった一枚

「撮影した祭りの写真を厳選して、ただ美しいものだけでなく、その場の雰囲気や人々の感情を伝える作品を選んだ」と語ります。

彼の熱い思いが込められた写真展『祭縁』は、2024年3月6日 ~ 3月10日の期間、大阪のギャラリー〈Gallery room305 〉にて開催予定です。ミスミさんは、この先も祭りをテーマに撮影を続ける予定です。写真展『祭縁』を通して、これまでの旅路を振り返りつつ、これからも続く彼の探求と成長を楽しみにすることができるでしょう。

ぜひ、展示を訪れ、ミスミさんの旅路における〈祭縁〉を体感してください。

INFORMATION

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写真家・ミスミタクマ

Free-lance web engineer / Photographer. お祭り / 旅 / スナップ / ポートレート

X:@misumi_takuma

INFORMATION

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写真展『祭縁』

開催日時:2024年3月6日() ~ 3月10日()
開館時間:14:00 ~ 20:00 (最終入場19:30)
在廊日:1月14日、28日終日
開催会場:Gallery room305 | 地図
会場住所:大阪市城東区新喜多1-1-2 4F

手に触れる作品から伝わるエネルギー

今回の〈#Images大阪2024〉展示会を通して、〈PiX Cypher〉のコミュニティ運営に携わる鷲﨑さんは、写真集やアートブックの持つ独特の魅力と、物理的な作品を介して伝えられる深い感動を強く感じたと話します。

「手に取る重みが、写真一枚一枚に込められたストーリーと情熱を体感させてくれるんです。そこには、デジタル画面越しでは伝わらない、生のエネルギーがあります」と彼は熱く語ります。

展示会は、作り手と見る人が直接話し合える大切な場所です。作品を見ながら、作者の意図や自分の感情に深く思いを馳せること。お互いの理解を深め、新たな視点を開く貴重な機会です。

これから描く写真表現の未来予想図

〈PiX Cypher〉は、今回の展示会から得られた洞察をもとに、次なるステップへと踏み出します。

「今後は、展示会をさらに規模拡大し、写真の世界をもっと多くの人に届けたいですね。特に、写真を日常的に楽しむ機会が少ない人々に対して、写真の奥深さや楽しみ方を伝え、新たなファンを増やすことが目標です。」と、代表の高野さんは展望を話してくれました。

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〈PiX Cypher〉のコミュニティメンバーが自由に制作している活動写真集

オンラインプラットフォームとの連携を強化し、SNSを活用して写真文化の新しい魅力を発信する計画もあるという。「デジタルとアナログ、両方の良さを生かして、写真を通じたコミュニティをさらに広げていきたい。写真が持つ力を信じて、その可能性を追求していくことで、写真文化のさらなる発展に貢献していきたいです」とこれからのビジョンを示してくれました。

彼らの活動は、広い層の人々に写真の新たな魅力を伝え、写真表現の無限の可能性を探求する旅になるでしょう。

INFORMATION

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PiX Cypher

大阪を拠点に活動する写真コミュニティ、現地での交流を重視し、実際に会って話し合える仲間が約100人写真展を目標に掲げ、その過程でフォトウォーク、撮影会、セレクト会、ブック制作といった多彩な活動を展開している。

X:@PiXCypher
HP:https://pixcypher.com/

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