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2023.10.09

Astrophotography | ファインダー越しに宇宙が見えた日 | Release #26

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”宇宙”
・・・
”Space”
・・・

古代より人類は満点の星空を見上げ、遠くから輝く光の存在について、好奇心を育んできました。

”宇宙”という言葉から思い浮かぶ、無数のイメージ。科学、芸術における現実と想像力が結びついたビジョン。謎に満ちた宇宙ですが、少しずつ未知を知に変えて、私たちは宇宙へのイメージを形成してきました。今回は宇宙を写真に残した過去の記憶に触れてみようと思います。

宇宙からの光を宿すための挑戦

ガリレオ・ガリレイがはじめて宇宙望遠鏡を夜空に向けたのが今から400年前。しかし、新たな天体を発見したとしても、当時はスケッチをする以外の記録手段がありませんでした。スケッチと写真では、資料としての意味合いが変わるということに、先人たちは気づいていたのでしょうか。写真発明と同時期の19世紀から、天体を撮影する試行錯誤が繰り返されました。

発明当初の写真技術では、明るい昼の撮影でも10分 ~ 20分露光させる必要があったために、天体の撮影は技術的な限界に直面していました。しかし、感剤の性能を上げ、現像、定着の処理が効率化するにつれて、今のフィルムに近いISO100程度の感度を持つ乾板が製造できることで状況が少しずつ変化していきました。

実際にイギリスの天文学者であり、南アフリカにある喜望峰天文台の館長だったDavid Gill(1843-1914)は、人物撮影用のカメラで天体写真を撮影することに挑戦し、数多くの撮影に成功しました。その中でも、1882年11月14日に撮影した大彗星(C/1882 R1)の写真は有名です。デジタルセンサーもなかった時代に、人類は宇宙の光を物質に宿すことに成功していたのです。

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1882年の大彗星

アポロ宇宙船に先駆けて

まだ、アポロ計画を生の放送を見た記憶がある方も十分にいらっしゃるのではないでしょうか。忘れはしない、人類が月へ行く有人宇宙飛行計画。人間が地球の外へ、惑星の境界を越えて探査に挑むことができるなんて、今の私たちにとっても宇宙は未知の空間であることを考えれば、当時の感覚は感動どころか、信じられなかったのではないでしょうか。

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しかし、アポロ計画がはじまった1961年以前に、宇宙空間からの撮影に挑戦した無謀で勇敢な挑戦者たちがいました。

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これは、1946年10月24日にニューメキシコの砂漠から発射されたV2ロケットに積まれたカメラで捉えた写真です。この名の知られていない写真は、初めての宇宙空間から撮影された歴史的な一枚として大きな意義があります。高度65マイルの位置から1.5秒ごとに1枚の画像を撮るように設計され、わずか数分後にはフィルムを地球に返しました。この一枚は、人類にとって、宇宙空間から客観的に地球の存在を確認しなおす視覚を私たちに与えたという大きな意味を持ちます。

いかがでしょうか。古から人間が暮らし続けてきた地球の姿をイメージできるのは、今を生きる我々の特権なのかもしれません。何億光年遠くの光に魅せられ宇宙に憧れ、私たちは先人たちが必死に残してきた宇宙の写真から、宇宙の世界に憧れを感じます。受け継がれた夜空への好奇心は、未来へ新しい革新につながることでしょう。

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