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2024.09.30

大彗星を写そう。紫金山・アトラス彗星の観測と撮影の極意 | Knowledge #121

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Cover photo by 佐藤 勇人

2024年に最も注目される天体現象の一つが、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)です。この彗星は、その大きな尾と明るさで過去数十年の中でも特に印象的な彗星になると期待されています。

特に北半球では、10月初旬に最も見やすくなる見込みです。今回は、彗星の観測場所や時間、そして美しい写真に収めるための方法を詳しく解説します。

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Photo by あおねこ

紫金山・アトラス彗星の特徴と観測時期

紫金山・アトラス彗星は、長い周期を持つ彗星で、次に地球に接近するのは2万年以上かかると言われています。この彗星は、特にその大きな尾が魅力で、塵や氷が太陽の熱で蒸発し、長く光り輝く尾を形成することが予想されています。

2024年10月12日には地球に最接近し、-5等級まで明るくなる可能性があります。この頃は、特に日没直後の西の空で、肉眼でも彗星を確認できる絶好のチャンスです。

彗星が最も美しく見えるのは、10月9日から12日頃です。観測に適した時間帯は、日没直後の1〜2時間。彗星は西の低い空に現れ、徐々に暗くなっていく空をバックに鮮やかな尾が広がる光景を楽しむことができます。観測する場所としては、できるだけ光害の少ない、視界が広がる場所を選ぶことが大切です。

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Photo by Hide

彗星撮影のための具体的な機材と設定

紫金山・アトラス彗星を美しく撮影するためには、基本的な天体撮影の技術が必要です。以下は、必要な機材と基本設定です。

  • 機材: DSLRまたはミラーレスカメラ、頑丈な三脚、広角レンズ(14mm〜24mm)またはズームレンズ(70mm〜200mm)。
  • ISO設定: 400〜800が基本。彗星の明るさに応じて調整しましょう。
  • 絞り: f/2.8〜f/4の開放値で、暗い空でも十分な光を取り込むことができます。
  • 露光時間: 10〜30秒を目安に、星が動いて線状にならない範囲で設定します。
  • ピント合わせ: 手動で遠くの星にピントを合わせると、彗星も鮮明に写ります。


特に重要なのは、露光時間の調整ピント合わせです。彗星の尾が広がっているため、広角レンズで空全体を撮影するのも良いですが、ズームレンズで尾のディテールを捉えるのもおすすめです。

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Photo by つっちー

撮影のコツ:ロケーションと後処理

撮影場所は、光害の少ない暗い場所を選ぶことが最も重要です。山間部や海岸線など、視界が開けていて空全体が見渡せる場所が理想的です。また、撮影前にはアプリ(Star Walk 2やSky Tonightなど)で彗星の位置を確認し、カメラを準備しましょう。

撮影後は、画像スタッキングなどの手法を使って、複数の写真を合成し、より鮮明な画像を作り出します。これにより、彗星の尾がよりくっきりと浮かび上がり、星空全体も美しく仕上げることが可能です。

最後に、Photoshopなどの編集ソフトを使って、明るさやコントラスト、シャープネスを調整し、より魅力的な一枚に仕上げてみてください。

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