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三点照明は、写真やビデオ撮影における最も基本的な照明技術の一つで、被写体を効果的に照らし出し、深みや立体感を与えるために使われます。この技術は、「キーライト」「フィルライト」「バックライト」の三つの光源を使用し、それぞれが異なる角度から被写体に光を当てることで、自然でバランスの取れたライティングを実現します。
今回は、それぞれの照明の役割についてわかりやすく説明し、明日からの撮影に役立つ応用方法をまとめます。

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キーライトの役割
キーライトは三点照明の中で最も重要な光源であり、全体の主照明として機能します。通常、被写体の前方約45度の位置に設置され、最も強い光を当てることで被写体に明確な陰影を生み出します。
またキーライトの位置や強さを調整することで、シーンの雰囲気やムードをコントロールすることができます。スタジオ撮影においては、ソフトボックスやビューティーディッシュがよく使用されるほか、自然光を利用する場合もあります。
フィルライトの重要性
フィルライトは、キーライトによって生じた影を和らげるための補助光です。通常、キーライトの反対側に設置され、より柔らかく、控えめな光を当てることで、陰影を減少させ、被写体のディテールを際立たせます。
フィルライトの光量はキーライトよりも低く設定されることが多く、撮影するシーンや目的に応じてその強さを調整することで、写真全体のトーンやコントラストを調整できます。
バックライトで立体感を強調
バックライト(またはリムライト)は、被写体の後方に配置され、背景から被写体を分離し、輪郭を強調する役割を果たします。この光は直接被写体に当たらず、むしろ被写体の周りにハイライトを作り出すことで、立体感を持たせる効果があります。
適切に配置されたバックライトは、被写体が背景に溶け込むのを防ぎ、写真やビデオに奥行きを与えてくれます。

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三点照明の簡単な応用と調整
三点照明はプロフェッショナルな撮影に不可欠ですが、初心者でも簡単に取り入れることができます。最後に、明日から活用できる三点照明のヒントをご紹介します。
◆ キーライトにはデスクランプや自然光を利用し、柔らかな光を得るために白い布やトレーシングペーパーを被せるとよいでしょう。キーライトは被写体の顔の片側を明るく照らすよう、カメラから45度の角度に配置します。
◆ 次に、フィルライトとして、安価なリフレクター(アルミホイルや白いボードなど)を使用してみましょう。これは、キーライトの反対側に配置し、影を柔らかくするための補助光として機能します。フィルライトの光量が強すぎる場合は、リフレクターを少し遠ざけるか、角度を調整することで影響を軽減することができます。また、窓からの自然光を使う場合、光が強すぎる時はカーテンで調整するのも効果的です。
◆ バックライトは、100円ショップなどで購入できるクリップライトや小型のLEDライトを利用して、被写体の後ろに配置します。これは、被写体の輪郭を強調し、背景からの分離感を高める効果があります。バックライトが直接被写体に当たらないように、ライトを高い位置から斜めに照らすとよいでしょう。また、背景が明るい場合は、バックライトを少し暗めに設定することで、より自然な画を作ることができるでしょう。
◆ 最後に、すべてのライトをセットしたら、スマートフォンやカメラでテストショットを撮影してみましょう。微調整が必要な場合は、ライトの位置や角度を変えて、理想のイメージに近づけてみましょう。