はじめに
『Mountain Mystery』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。
「そこに山があるから」は、イギリスの登山家ジョージ・マロリーの有名な言葉です。
私たちは山に魅せられて、山を眺め、山に登り、山を写します。しかしなぜそこまで山に惹きつけられるのでしょうか。
今回のコンテストのテーマは〈山の神秘〉です。その雄大さに心を惹かれる人もいれば、生命の多様性に魅了されている人もいるでしょう。あるいは登山を通じて新たな自己を発見することに喜びを感じるかもしれません。そんな山がもつ力を写して応募していただきました。
また今回はオフィシャルキュレーターに山岳写真家・ATSUSHI HIRANOさんをお迎えし、受賞作品の選定と講評をいただきます。
それでは、応募作品と受賞作品をご紹介いたします。
応募作品紹介
ATSUSHI HIRANO
「November /くじゅう」
📷 OLYMPUS IMAGING CORP. | E-M5
cizucu編集部
今回オフィシャルキュレーターを務めるHIRANOさんの一枚。山の魅力の一つは、人間の日常生活から隔離された山独特の生態系がそこにあることです。人がそこへ足を踏み入れる時、生物としての一体感のようなものを感じることができます。
長熊真守
「遥か彼方の山」
cizucu編集部
双眼鏡を通して撮影された山岳写真でしょうか。遠くから眺める山は空を切り裂き、自然と拮抗するかのように聳え立ちます。その壮大さに私たちは畏怖の念すら抱きます。
the Oji brown
「樹に通せんぼされることもある」
📷 SONY | ILCE-7M4
cizucu編集部
枯れてしまった樹木が道を通せんぼするように見える一枚。もしかすると、ただそう見えるだけでなく、人智を超えた自然のエネルギーが人間にわかる形で警告しているのかもしれません。
受賞作品
ishii
「秋の月山」
📷 NIKON D750
HIRANOさん講評
山形県にある月山の秋を切り取った一枚。橙、黄、緑が混じり合った東北の山らしい紅葉の中を二人の登山者が歩く風景は、どこまでも歩きたくなる物語を感じさせます。右上に入れた漂う秋雲のバランスも素晴らしい構図です。山歩きの途中で見逃してしまいそうなしみじみと趣深い瞬間を感じ取った作品です。
yuriwochi
📷 FUJI PHOTO FILM CO., LTD. | SP-3000
HIRANOさん講評
富山県にある立山の残雪期を切り取った一枚。フィルム写真による青みがかった淡い色味が雪山の心地良い冷気と美しさを表現しています。黒部湖、後立山連峰、空と雲のバランスも秀逸です。街の喧騒から離れて、冬から春に移りゆくアルプスに足を運びたくなる作品です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
壮大な山岳に魅せられたクリエイターたちの写真をたくさん見ることができました。
「カメラを片手に登山したことで、山頂に立つ以外にも山の楽しみ方はいろいろあることを改めて認識できたんです。光が射している森、足元に咲く花、湧き立つ雲、白く輝く霧氷など、山の魅力はいたるところに散らばっている。それからは、自分の山旅においてカメラは欠かせない相棒になりました。」
これはHIRANOさんのインタビューの引用ですが、今回はカメラと山との関係性を再発見するようなコンテストにもなりました。これからも山旅で撮った写真をcizucuにて見られることを楽しみにしています。
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