cizucu主宰『Daily Moments』受賞発表 | Challenge #112

『Daily Moments』は、cizucuが主宰する、cizucuに登録するクリエイターであれば誰でも応募できるグローバルなオンラインフォトコンテスト。応募作品の中から優れた作品をキュレーションし、プラットフォームとしての新たな才能の発掘、そして、コミュニティとしての支援を目的としています。

今回のテーマは、〈些細な日常〉です。

カメラを持っていると、持っていないときには通り過ぎてしまうような些細な出来事に気づくことがあります。立ち止まって、シャッターを切る。なんてことない1枚かもしれませんが、実はそういう写真が大事に思える日が来るかもしれません。

まちの雑踏の中や、いつも通る道。あるいは慣れ親しんだ故郷など、あなたが日々、見ている景色のなかで「あ、いいな」と思った瞬間を応募していただきました。

『Daily Moments』はオフィシャルキュレーターに写真家・コハラタケルさんをお迎えします。昨年cizucuが実施したコハラさんへのインタビューもぜひあわせてご覧ください。

それでは、コハラさんが選定した優秀作品2作品と最優秀作品1作品を発表いたします。

穂（スイ）
「飛び出した夏」

📷 FUJI PHOTO FILM CO., LTD. | SP-2000

コハラさん講評
今回のコンテストでは家族写真を含む、人物の写真が目立つなか、ブツ撮りの写真で勝負してくれた1枚。タイトル「飛び出した夏」もセンスが良いです。サンダルがきちんと揃えられていない状態のため、急いで脱いで駆け出したのかなと想像を膨らませてしまう写真になっていると思います。一見、何気なく撮られたような1枚に見えますが、中央のカゴバックの濃い影が手前の白のシューズにかぶらないようにしていたり、長い流木の先端を写真に入れないことで、あくまで自分たちの荷物が主役であることを見せるための構図になっていたりなど、細かいところで撮影者のスキルが感じとれる1枚です。

nanako

📷 Apple | iPhone 12

コハラさん講評
お子さまでしょうか。鉄棒の下にできた水たまりのなかに何かを発見したのか。撮影したnanakoさんにとっては何度も見てきた光景かもしれませんが、雨や寒色の色合い含め、日常でありつつも静けさがある写真になっています。今回の撮影機材はiPhone 12。nanakoさんのほかの写真も見させていただいたのですが、ほかにも雨の日に撮影したうしろ姿の写真がありました。iPhone 12は防水機能があるため雨の日でも濡れることを気にすることなく撮影できますが、それでも傘を持ちつつiPhoneをサッと取り出して雨の日に撮影できる人はある程度、限られるのではないかと思います。どのような天候でも写真を残しておくという意志を感じました。

haruchan

「実家の春の窓、日常」

コハラさん講評
正方形の窓から見える桜の木が絵になるロケーションですが、手前には洗濯物やリモコンなど、生活感があるモノが雑多に置かれています。もしも僕がこの場所に訪れることがあった場合、これらのモノは動かして写真に入れない可能性があります。しかし、ここで生活している人にとってこの景色は見慣れたものであり、桜の木が洗濯物とかぶっていても気にしていません。そこに強烈な日常があり、窓から桜の木が見えるという”絵”になるロケーションとのコントラスト（対比）が心地よいです。また、洗濯物はホワイトや淡いブルーの色合いのモノが多く、桜色との相性が良いモノを選ばれているところに撮影者のセンスを感じます。

いかがでしたでしょうか。
あっという間に過ぎてしまうような日常の愛おしい瞬間は、記憶する前に記録することで私たちのものにすることができるのかもしれません。これからもふとしたときに訪れる「あ、いいな」を捉えてみてくださいね。
それでは次のコンテストでお会いしましょう。