オーロラといえば、南極や北極、北米や北欧といった一部の国や地域でしか観測できない非常に貴重な現象の1つです。その絶景を一目見ようと、遠く離れた国からわざわざ観測可能な地域へと訪れる観光客も多くいます。
そんな神秘的なオーロラが、実は日本国内でも観測できることをご存知でしょうか?
日本各地でのオーロラ観測成功の報告
2024年5月10日、この20年で最も強い太陽フレアが発生しました。地球に向けて高エネルギーの粒子などが放出されたことで、地球の磁場を乱す「磁気嵐」が発生。これにより、電力網の障害や無線通信の途絶が起きました。
太陽からの放射エネルギーは10日に地球に到達し、その影響は12日まで続きました。その結果、世界各地の空に色鮮やかなオーロラが広がりました。日本各地でも、特に北海道を中心にオーロラ観測成功の報告が相次いでいます。
低緯度オーロラのメカニズム
低緯度オーロラの基本的なメカニズムは高緯度地域で発生するオーロラと同じです。太陽風によって「磁気嵐」と呼ばれる大きな磁場の乱れが発生し、通常のオーロラよりも大規模なオーロラが発生します。その結果、通常は高緯度地域でしか見られないが日本のような低緯度地域からも観測できるようになります。一般的なオーロラとの大きな違いは、その色が赤いという点です。オーロラは高度に応じて色が変わり、低緯度地域から観測可能なのは、高度200km以上の赤色の部分だけです。
歴史文献に見る日本のオーロラ
日本で観測される低緯度オーロラは、過去の文献からも確認できます。江戸時代、京都・東羽倉家の日記にはオーロラの絵図が描かれており、当時の人々がその光景に驚いた様子がうかがえます。この他にも、オーロラは古くから「赤気」と呼ばれ、日本書紀の時代から江戸時代に至るまで、京都や江戸などで北の空が赤く光る現象が報告されています。
現代になってからも、北海道などで北の空が赤くなる現象が報告されており、山火事と間違えられて消防車が出動したりすることもあります。
日本でオーロラを見るチャンス
このような目に見えるオーロラが見える確率は、北海道付近では11年に1度くらいとされています。これは太陽活動が11年周期であることと関係しており、太陽活動が活発な時ほど起こりやすくなるからです。次は2035年に日本でオーロラが観測できるでしょう。まだまだ先のことですが、今回見逃してしまった方は、次こそは自然の神秘に触れるチャンスを逃さないようにしましょう。