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2024.04.21

20年の月日を経て完成 世界最大の巨大デジタルカメラ | Release #123

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cover image by k.2SSD

広い宇宙を一望できる、そんなカメラがあるとしたら、どれほどすぐれた性能を持つのでしょうか。実はこの4月、史上最大規模のデジタルカメラが誕生しました。

史上最大のデジタルカメラ

1990年代初め、一部の科学者たちは宇宙の広範囲を一望する、天文学や宇宙物理学を大きく前進させるような望遠鏡の開発を夢見ていました。新しい望遠鏡が、ダークマター、つまり暗黒物質の謎を解明する手がかりになることを期待していました。

この夢のような話を実現するために、2003年〈LSSTコーポレーション〉が設立され、2007年には〈チャールズ・シモニー〉と〈ビル・ゲイツ〉といった著名な資産家から合計で3000万ドル、日本円で約33億円の資金を集め、望遠鏡の主要な構成要素の一つである鏡の設置が進められたのです。

地球規模のチームワーク

その後、〈LSSTコーポレーション〉は2010年にアメリカ国立科学財団(NSF)とエネルギー省(DOE)からの資金支援を受け、大規模シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST)の建設が正式に開始されました。建設はグローバル規模で協力を募り、2015年にはチリのセロ・パチョンで、望遠鏡が設置される大規模施設の建設も始まりました。その後も多くの国々で部品が製造され、望遠鏡は着実に組み立てられました。

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© Jaron Schneider

驚異的な3200メガピクセルを実現

約20年の時間をかけて、2024年4月世界最大のデジタルカメラ〈LSSTカメラ〉が完成しました。
カメラは重量3000キログラム、32億画素を誇ります。中判カメラ「ライカS3」で例えるなら約5倍の解像度であり、驚きの性能で広大な宇宙を詳細に捉える能力があります。センサーは、一度に数万の星や銀河を捉えることが可能で、通常のカメラと比べて圧倒的に高い感度と精度を誇ります。

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© Jaron Schneider

天体観測とデータ収集の未来に貢献

〈LSSTカメラ〉は今後10年にわたって、南の空を800回以上観測し、宇宙のダイナミックな映像を撮影します。科学者たちは〈LSSTカメラ〉を活用し宇宙の複雑な構造や暗黒物質の分布、小惑星の動きなどを解析する予定です。

テクノロジーにより人類の知覚領域が拡大し、これまでにない現象の発見が期待できるようになりました。カメラ技術の発展は、私たちが宇宙という未知の領域を理解することにも貢献し、新たな発見を続けるための強力なツールとなります。

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