magazine
2024.03.02

#notopeninsula 能登地震から2ヶ月、地震後の軌跡 | Focus #45

2024-03-notopenisula-cover-image

2024年1月1日、新年を迎えたばかりの石川県能登地方は、突如として襲った大地震により大きな被害を受けました。数分の揺れは、地域の風景を一変させ、多くの人々の生活を根底から揺るがしました。被災から2ヶ月が経過し、いくばくかの日常は戻りつつあるものの、まだ多くの課題が残されています。このような状況だからこそ被災地のリアルな声を通じて、現地で何が起きているのか、何が必要なのかをお伝えします。

今回は、#notopeninsula への深い関わりを持つKumiさんとの貴重なオンラインインタビューを実施しました。被災地能登から、困難な状況にある中で過ごしてきたKumiさんのこれまでの心境の変遷、能登地方の現在の様子、そして未来への展望について深く掘り下げて話を伺いました。

突然の被災、そして混乱

「正月早々、なぜこんなことが…」

新年の祝いの最中、楽しく過ごしていたはずが、突然の地震と大津波警報で全てが変わりました。街は多くの被害を受け、多くの人々が避難所生活を余儀なくされました。

2024-03-notopenisula-image-7

Image by Jang Kumi

被災直後の心境

地震が発生した際の混沌とした恐怖、そしてそれに続く不安定な日々が、被災者一人ひとりの心に深い影を落としました。家や生活の基盤を失い、未知の未来への不安が彼らの心をさらに重くしました。
「全てが一瞬にして変わった瞬間、私たちは何をすべきか、どう前に進むべきかを真剣に考えざるを得ませんでした。」と、Kumiさんは当時を思い返していました。

2024-03-notopenisula-image-10

Image by Jang Kumi

写真に残し、忘れないこと

「大変な中で、心苦しい情景にカメラを向けると、気持ちが辛くなる」とKumiさんは話します。しかし、彼女は何とか記録を残そうとカメラを手に取りました。その原動力には「この状況を後世に伝えることが私たちにできる一つのアクションである」という想いがあります。瓦礫の山、崩れた家々、そして変わりゆく自然の風景。写真は言葉にならない現実を伝える強力なツールとなりえます。

2024-03-notopenisula-image-13

Image by Jang Kumi

「これから瓦礫が撤去されていく過程で、かつての風景はすべて消え去り、何もなかったかのような状態になります。その時、新しい何かが築かれ始めますが、私たちが今目の当たりにしているこの場所の最後の姿を、記憶と記録に残さなければ、自分自身が納得できないんです」と彼女は語ります。今、ここにあるものが、やがては全て無くなる。早くも復旧が進んで穏やかな暮らしに戻ってほしい。しかし、彼女は決して被災の記憶を忘れたい訳ではありません。

復旧への道のりは、まだ遠い

基本的なインフラの復旧が進む一方で、能登半島の多くの住民は依然として仮設住宅での厳しい生活を送っています。「確かに電気は復旧し、水道から水が流れ始めましたが、それだけで以前の生活に戻れたわけではありません」と住民は訴えています。ライフラインが復旧しても、住宅や仕事、日常生活の質など、解決すべき多くの課題が残されています。

2024-03-notopenisula-image-17

Image by Jang Kumi

さらに深刻な問題として、小さな集落では水道の復旧が遅れており、住民の中には10km近く離れた場所から水を運ばなければならない方もいます。「水が届いていない町もあり、生活用水を確保するためには長距離を移動する必要があるのです」と、現地の厳しい状況を物語っています。ライフラインの復旧が報道により表面的には進んでいるように見えても、被災地の生活はまだまだこれまでの日常とは程遠いのが現実です。

ボランティアや支援への継続的な呼びかけが必要

日々の生活を少しずつ取り戻しながらも、未来への不安を抱えています。「家を失い、仕事を失い、それでも笑顔を忘れずにいます。一方で、日々の生活を少しずつ取り戻しながらも、未来への不安を抱えています。私たちは強くあろうとしています。だが、それには外からの支援が欠かせない。小さな進歩を積み重ねている私たちの努力を、どうか見守ってほしい。そして、忘れずにいてほしい。被災地の人々の日常は、まだまだ正常とは言えない状態です。」と、Kumiさんは訴えます。

2024-03-notopenisula-image-21

Image by Jang Kumi

ボランティア活動は、直接現地に足を運ぶことだけではありません。寄付、物資支援、情報拡散など、様々な方法で被災地を支援することが可能です。石川県内の方に限らず、県外の多くの人々にとって、被災地のこれらの困りごとに対し、手を差し伸べることができる機会があります。

ボランティア募集情報は、石川県庁のウェブサイトなどで確認できます。活動時間が限られている場合もありますが、宿泊場所の提供など、NPOや地域団体が独自の支援を行っている場合もあります。これらの情報に目を通し、自分にできる支援の形を考えてみることが、被災地への大きな一歩となります。

2024-03-notopenisula-image-23

Image by Jang Kumi

#notopeninsula

私たちcizucuは、皆さんのクリエイティブな力を借りたいと考えています。能登半島の美しい文化や自然、そして直面している課題に光を当てるための取り組みです。能登半島で撮影した写真をハッシュタグ〈#notopeninsula〉を付けて、能登半島で撮影した写真とメッセージをシェアしてください。皆さんの小さな気持ちと支援で、能登半島の復興を一緒に目指しましょう。

チャリティー写真展が開催予定

そして、Kumiさんをはじめ能登地域の写真家たちは、深刻な現状に直面しながらも、その瞬間を写真に収めています。その一つとして、3月下旬、新潟県柏崎市で開催予定の写真展を紹介します。

津波や火災など極めて甚大な被害を受け、未だ十分な支援が届いていない能登町白丸地区に焦点を当て、被災地への継続的な関心を呼びかける「写真展」が開催されます。かろうじて津波や火災の被害から免れた、白丸地区の美しい風景を捉えた写真は、失われゆく貴重な景色を伝えます。

最後に、取材へのご協力頂いたJang Kumiさまへの感謝と共に、被災者の安全と迅速な復興を心から願います。

INFORMATION

2024-03-notopenisula-information-image-30
Jang Kumi

石川県輪島市出身・能登町在住。 能登半島の自然と祭と花をこよなく愛します。

Instagram:oknt_photograph
cizucu:Jang Kumi
HP:OKUNOTO PHOTOGRAPH

cover image by Jang Kumi

cizucu app icon

cizucu | コミュニティ・ストックフォトアプリ

アプリで快適に最新の情報をキャッチアップしてみませんか?

ダウンロード