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2024.02.05

ロベール・ドアノー作『市庁舎前のキス』のモデルが逝去 | Release #56

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"世界を魅了したキス"写真のモデルが93歳で永遠の別れへ

パリの街角で愛の誓いを交わすカップルを捉えた、ロベール・ドアノーの伝説的な写真『市庁舎前のキス』のモデルが93歳でこの世を去りました。1950年代、パリの活気あふれる日常とは対照的な、一対の恋人たちの静謐な愛の瞬間を描いたこの白黒写真は、アメリカの〈Life〉の特別な依頼で撮影された、パリの恋人たちをテーマにした作品群の一部です。Françoise Delbart(フランソワーズ・ボルネ)とその恋人Jacques Carteaud(ジャック・カルトー)が、忙しい街中にあっても、まるで周囲の世界から遮断されたかのように、互いに優しくキスを交わす姿が映し出されています。

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©Atelier Robert Doisneau | ロベール・ドアノー

演出されたロマンス、心を打つキスの真実は

『市庁舎前のキス』は、パリの活気あふれる日常とは対照的な一組のカップルの愛を誓う一瞬を捉えた作品ですが、全てが偶然だったわけではありません。実際には、ロベール・ドアノー本人がカフェで二人を見つけ、特定のポーズでキスをするように依頼したとのこと。

刹那的な作品が事前に計画された演出を含んでいることが明らかになった時、この作品を巡る論争がおきました。それでもなお、この演出された「決定的瞬間」が、観る者を魅了し続ける理由は何なのでしょうか。

それはおそらく、愛の普遍性と、愛がもたらす感動が、演出された瞬間であっても、我々の心を捉える力を持っているからではないでしょう。

商業的成功と法廷闘争

その後、作品は長い間誰の目にも触れず、ずっと眠っていました。しかし、1980年代初頭にアーカイブから発見された後、『市庁舎前のキス』はポスターサイズのプリントが40万枚売れるなど、都市のロマンスを象徴する最も有名なイメージの一つとなりました。

しかし、この商業的成功とは裏腹に、この写真に写っている人物だと主張する他のカップルが現れ、画像の使用に対する補償を求める裁判が立て続けにおきました。これらの主張は最終的に法廷で棄却されましが、事態はロマンスとは逆の方向に進んでしまいます。

世紀のロマンスを象徴するイメージとして

93歳で亡くなったFrançoise Delbartは、この不朽の作品の一部として永遠に記憶されます。彼女の元恋人であるJacques Carteaudと別れた後、彼女は映画業界でキャリアを築き、生涯を通じて芸術と文化への貢献を続けました。ロベール・ドアノーが1994年に亡くなり、Carteaudが2006年に亡くなった後も、この写真は愛と若さの象徴として、多くの人々に親しまれ続けています。

cover image by Sentimental_Jong

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