続けることで生まれる、自己表現の奥行き | 写真家 橋向真 | ISSUE #12

「コンデジなどカメラは保有していたものの、旅行にカメラを持って行く習慣がなかった」そう語る橋向さん。現在の活動からは想像がつかない人も多いのではないか。
そんな橋向さんとカメラや写真との距離を近づけてくれた存在が、当時日本中で流行していたSNSである〈mixi〉だ。

〈mixi〉内で写真を扱うトピックに何気なく投稿した写真が、多くの人の関心を引き寄せ、「世界観を表現する」、「人をつなぐ」という写真の魅力に気づくきっかけとなった。さらに漫画をはじめ表現することが好きな性格も相まり、奥が深いカメラの世界にどっぷりとのめり込むように。

カメラ雑誌を買っては様々な表現を学び、日常生活の中や旅先では思い描く表現をカメラ・写真を通して表現する。新しいものにアンテナを貼り、常に学び続ける。この姿勢は今も昔も変わらない、橋向さんの礎になっている。

「クリエーションを通じて周りの人たちに喜んでもらう」、ということが幼い頃から大切にしてきている感性であり、同時に大きな喜び。時代やツールが変わったとしても、表現への情熱は変わることなく常に表現する場所を模索していた中で、カメラとの出会いがその情熱にさらに刺激を与えることになる。

思い描く表現をありのままに。その瞬間を記録し、人々に届ける。

写真を通して繋がったファンや仲間の中には、これまでの生活では決して接点を持つことがなかった人も多いという橋向さん。気づいた頃には無我夢中でカメラに向き合い、思い描く表現を実践する毎日を送っていた。

SNSがなければ、今の僕は存在しない。

SNSがきっかけとなり写真での表現活動を始め、ファンや仲間との繋がりを大切にし、発信を欠かさず続けている橋向さんの口から語られるからこそ、言葉以上の重みがあるのではないだろうか。

日々発信を続けていた富士山の写真も、SNSを通じて誰かの目に留まったのか、機会をいただくことができ世界的なニュース番組で取り上げられた。100年前だと到底想像もできないことであるが、SNSを通して海を超えて、国を超えてファンと繋がることができるのもこの時代ならではのこと。

昨今SNSの収益化が進んでいるが、「ファンとより濃密な関係性を築くことができ、インスピレーションが広がることで、新しいものをどんどん取り入れて自己表現に繋げていきたい」と、笑顔で明るい未来を語ってくれた。

富士山をテーマに、10年以上も国内外に発信を続けている。時にはネガティブな言葉をかけられることもあるけれども、座右の銘である「継続は力なり」の言葉の通り、自分の信念を持って続けること。

失敗しても成功しても残るものは必ずある。明るい未来を持って進んでほしい。
自分を信じて発信し続けたからこそ、想像もできない素晴らしい瞬間や仲間に出会うことができ、今となってはかけがえのない財産ができた。

今日もカメラに向き合い、自己表現を探究し続ける。

橋向さんをキュレーターにお迎えしたcizucu主宰『Stand by Me』は今週末8月27日が応募締め切りとなっております。cizucuにとってのモチベーションであるクリエイターのみなさまの〈写真を続ける理由〉をキャプションに添えて、ありのままを表現した作品をご応募ください。たくさんのご応募をお待ちしております！