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近鉄奈良線、額田を越えそろそろ石切に着こうという頃ー車窓は大阪の街を贅沢に切り取ったかと思えば、一瞬にしてその幻想は途切れ、私たちを乗せた電車は暗く長いトンネルへと走って行く。 前から石切近辺に写真を撮りに行きたいと思ってはいたのだが、忙しくまた家から遠いということもあってなかなか都合がつかず行けずじまいだった。そんな中私が重い腰を上げわざわざここへ赴いたのは、やはり圧倒的に壮観な大阪平野の景色。大学入試2次試験も迫る1月末、疲れを癒す意味も兼ねて、学校終わりにここ石切へと向かった。その日、太陽は雲に覆われ、日没の1時間くらい前までは夕焼けすら危うい空模様だったのだが、瓢箪山駅を過ぎ生駒山地の登りに差し掛かったその時、依然として太陽に雲はかかっていたもののそれがかえって光のカーテンを生み出し、大阪の街を神聖で穏やかな光が包んでいた。「それはまるで、夢の景色のように、ただひたすらに美しい眺めだった。」
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