動きのある被写体を鮮明に撮りたいときに役立つテクニックとして「置きピン」があります。これは、被写体が予測できる位置にピントを固定し、動きがそのポイントに達した瞬間にシャッターを切る方法です。
運動会で走る子どもや鉄道写真など、被写体が特定の経路を動く場合に特に効果を発揮します。今では多くのカメラが高性能なAF(オートフォーカス)機能を搭載していますが、スピードと正確さが重要な場面では、あらかじめピントを合わせる「置きピン」が役立ちます。
置きピンの基本手順とメリット
置きピンの基本的な手順は、あらかじめ撮りたい位置にピントを合わせておき、その場所に被写体が来た瞬間にシャッターを切るだけです。例えば、電車撮影であれば、線路上の通過地点にピントを置き、電車が来た瞬間に撮影します。これにより、シャッターボタンを押す直前にピントを合わせる手間が省け、瞬間的な判断に集中できるため失敗が減ります。
また、連写モードを使用することで、わずかなタイミングのズレが生じても対応しやすくなり、より確実に鮮明な写真を撮ることが可能です。
親指AFと組み合わせた置きピンの活用
置きピンは、シャッターチャンスが来るまで待機する時間が長い場合にも便利です。この際、親指AF(親指オートフォーカス)機能を使うと、ピント合わせのプロセスをさらに簡単にできます。
通常はシャッターボタンに割り当てられているAF操作を親指で操作できるボタン(AF-ONボタンなど)に移すことで、シャッターボタンは撮影に集中でき、ピントを維持したまま待機が可能です。
これにより、動く被写体がピント位置に来た瞬間にすぐ撮影ができ、特に動きが予測できない状況でもピントがズレるリスクを抑えられます。
置きピンとAFの進化
かつて置きピンは動体撮影に欠かせないテクニックでしたが、最近のカメラではコンティニュアスAFや被写体追尾AFの性能が向上し、動く被写体をピントから外さず追尾できる機能も発展しています。
それでも、置きピンは特に緻密な瞬間を切り取る際に有用です。技術が進化した今でも、被写体が一定の経路を進む場面や、フォーカスロックを活用したい場面では、置きピンが実用的な手法として残っています。