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2024.11.05

写真のボケ効果はなぜ生まれるの? | Focus #344

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Cover photo by daphoto

ボケ効果は、写真撮影において被写体を際立たせ、奥行きを与えるための重要な技術です。しかし、その効果は単に「背景がぼやける」現象以上に、レンズ内での光の挙動に基づく物理的なメカニズムに依存します。

今回は、ボケが生まれる根本的な光学の原理と、被写界深度との密接な関係について詳しく解説します。

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Photo by テル

被写界深度とピント面によって光がぼける

ボケは、「被写界深度」と呼ばれるピントが合って見える範囲の外にある領域で発生します。カメラのレンズが光を集めてピントを合わせる際、特定の距離にある被写体のみが正確にピント面に映り、それより前後の被写体は「ボケ」として映ります。

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Photo by 𝐅𝐋𝐎𝐖𝐄𝐑🌻

F値(絞り値)を小さくしてレンズを開放すると、レンズを通る光の角度が広がり、ピント面以外の光はレンズ上で正確に一点に収束せず、背景がぼんやりとぼけたように見えるのです。これがボケが生じる基本的な仕組みで、ピント面以外の領域で光が広がりを見せることで、写真に奥行きと立体感を与える要因となっています。

焦点距離とボケの強弱

「焦点距離」も、ボケの強さに大きな影響を与えます。焦点距離が長い(望遠)レンズでは、被写界深度が浅くなるため、背景や前景のぼけが強くなりやすく、結果として被写体の周囲に美しいボケが生まれます。これは、望遠レンズが光を遠くのピント面で集めることで、背景が遠ざかって見え、ボケが強調されるからです。

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Photo by Tsubasa Mfg

逆に、広角レンズは被写界深度が深くなるため、ピントが合っている範囲が広くなり、ボケ効果が弱まる傾向があります。望遠レンズは「圧縮効果」も生じさせ、背景と被写体が近づいたように感じられることで、より印象的なボケが得られます。

絞り羽根とボケの形状が光点の「質」を決める

ボケの形や質感は、レンズの絞り羽根の形状と配置によっても影響を受けます。絞り羽根が多角形に配置されているレンズでは、ボケの光点が角ばった形になりがちですが、円形に近い絞り羽根の配置を持つレンズでは、柔らかな円形のボケが生まれやすくなります。

このため、レンズごとにボケの「質」や「柔らかさ」が異なり、特にポートレート撮影などでボケが重要な役割を果たす場合、絞り羽根のデザインが写真の印象に大きな影響を与えるのです。高価なレンズはこの点にもこだわって設計されているため、背景のボケが美しく滑らかになることが多いです。

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