Cover photo by wagahaiha chitta
AI技術が急速に進化する中、クリエイターとAI企業の間で著作権を巡る問題が浮上しています。2024年、ドイツの写真家Robert Kneschke（ロバート・クネシュケ）氏が、AI画像生成に使用されるデータセットを提供する会社〈LAION〉を相手に訴訟を起こしました。彼の写真が許可なくAI訓練用データセットに含まれていたためです。
この訴訟では、AIと著作権法の境界線が問われ、今後のクリエイティブ業界に影響を与える重要な判決が下されました。
Photo by Misa Utsunomiya
著作権侵害をめぐる複雑な問題
Kneschke氏の写真は、LAIONのデータセットに含まれ、主要なAI企業のモデル訓練に利用されました。しかし、〈LAION〉側は「画像のコピーを保持しておらず、インターネット上の公開リンクを集めたデータベースのみ提供している」と反論。
結果、裁判所は、ドイツ著作権法第60条(d)の研究目的における例外規定に基づき、〈LAION〉の活動は非営利的であり、合法であると判断しました。これにより、Kneschke氏の訴えは退けられました。
Photo by Tsubasa Mfg
クリエイターの創作活動における影響
この判決は、クリエイターの権利がAI技術の発展に対してどのように守られるべきかを考えさせるものです。特に、写真家をはじめとするクリエイターにとって、自分の作品が無断でAIの訓練データに使用されるリスクが浮き彫りになりました。
さらに、この裁判結果はEUの新しいAI法にも影響を与える可能性があり、クリエイターとAI業界の間でさらに大きな議論を呼び起こすことが予想されます。
