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cover image by Iwakura shiori
クリエイターや作品、トレンドにスポットを当てる『Focus』。フィルムカメラでノスタルジックな作品を表現する写真家 岩倉しおりさんをお呼びして、フィルムを愛用するようになったきっかけや、フィルム写真の未来に対する想いを語っていただきました。
フィルムカメラに惹かれた背景
岩倉さんとフィルムカメラの出会いは、彼女の高校時代までさかのぼります。高校の写真部で初めてフィルムカメラを使い、その魅力に気づいたとのこと。当時は、フィルムカメラで撮影するとどんなものでも「いい感じ」に写る気がしたそうです。フィルムで撮るだけで写真が上手になったような感覚を覚え、在学中はフィルムカメラを愛用するようになりました。
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Image by Iwakura shiori
しかし、高校の時に使っていたフィルムカメラは写真部の物だったため返却し、卒業後はデジタルカメラを購入しました。デジタルカメラ人口が多いからと購入したものの、フィルムで撮っていた時と比べて、思うように写真が撮れなくなってしまったと言います。その後、再びフィルムカメラを手にした際には、フィルムが持つ魅力を噛み締めたそうです。
フィルムカメラを愛用する理由
岩倉さんがフィルムカメラを愛する理由の一つは、「出来上がりが予測できないこと」だと言います。デジタルカメラではその場で撮影した写真を確認できますが、フィルムは現像するまでどんな写真が撮れたか分かりません。この不確定要素が時には怖くもありますが、予想を超える結果が出た時の嬉しさが勝つと、岩倉さんは語ります。
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Image by Iwakura shiori
また、光の捉え方においてもフィルムとデジタルでは大きな違いがあります。曇りや雨の日にはあまり差を感じませんが、逆光の状況ではフィルムの方が独特の質感を持ちます。岩倉さんの考えでは、デジタルカメラでどんなに技術が発展しても、フィルム特有の質感を完全には再現しきれないだろうとのことです。
厳しいフィルム業界へのはたらきかけ
しかし、昨今はフィルムの価格が高騰してしまい、フィルムカメラは入手が難しくなっているのが現状です。岩倉さんも、そんな状況に危機感を抱いており、ある日SNSでフィルムカメラの現状についてつぶやいたところ、リコーイメージングのペンタックス製品企画メンバーから連絡があったと言います。ペンタックスも彼女と同じフィルム界への問題意識を持っており、フィルムカメラが新しく製造されないとフィルムメーカーも衰退してしまうと感じていました。
そんな背景から始まったプロジェクトが、昨今話題となっている「Film Camera Project」です。ペンタックスは新しいフィルムカメラを製造し、フィルムメーカーを再び支援する計画とのこと。そして、岩倉さんもそのプロジェクトメンバーとして参加しています。
プロジェクトの詳細はこちらからご確認ください。
今回のプロジェクトを通じて岩倉さんは、フィルムカメラの未来を支えたいという考えがより強くなったと語っていました。クリエイターとして作品を発信するだけでなく、いちファンとして業界全体を考えた活動をする岩倉さんの動きに、今後も目が離せません。
INFORMATION
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主な活動歴
香川県在住の写真家。うつろう季節や、光を大切に、フィルムカメラをメインで撮影している。地元で撮影した写真を中心にSNSで作品を発表する他、写真展の開催。CDジャケットや書籍のカバー、広告写真などを手掛ける。
X : 岩倉しおりiwakura shiori
Instagram:iwakurashiori
Website:iwakura shiori
主な作品 2019年3月、初の写真集『さよならは青色』(KADOKAWA)
cizucu:Iwakura shiori