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2023.08.17

音色と写真で織り直す写真家 | 宮下直樹への10の質問 | ISSUE #11

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世界中のクリエーターの感性や思考を深掘りする『ISSUE』。新たなインスピレーションのきっかけに。
『ISSUE #11』では、フォトグラファー/ビデオグラファーとして活躍される宮下直樹さんへの10の質問を通じて、仕事への向き合い方やカメラを構え続ける理由に迫りました。

Q1. あなたについて

1978年の京都生まれです。高校まで京都で、大学は埼玉だったんですがドイツ語学科に通っていました。

卒業後は東京で広告代理店に営業として就職しました。5年半、主にキャンペーン系のプロモーションを担当してました。〈音と言葉とビジュアル〉を使った仕事に就きたいと考えて就職活動をしたものの、見事に営業に配属されて(笑)。
想像通りきつかったですね。僕も含めてですが、みんなよく生きているなと感じていました。

その後友人との会社の立ち上げなどを経て、結果的に独立を選びました。最初の時期は過去の仕事の延長のような仕事をしていましたが、それだけだとしんどかったのでグラフィックやWeb制作の仕事もできる範囲で自分でやりつつ、並行して月の半分ほど京都に帰りながら、伝統芸能や伝統文化に関わる企画やイベントに取り組みながら仕事としても取り組みました。

最後まで趣味性が高いカメラや写真には手を出していなかったですが、当時仕事で〈GR DIGITAL II〉を使う中で「どうしてこういうボケのある写真が撮れないのか?」という写真がたくさん出てきて、そこで初めて一眼レフを買いました。「誰でも上手に撮れるやん!」と思いながら少しずつカメラに触れていきました。2015年に企画やプロデュースなどから離れ、「写真と映像」を仕事にしようと決めて今に至ります。

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Image by MIYASHITA NAOKI

Q2. 初めて写真を撮った記憶

外国語学部に通っていたので、一人旅ばかり結果的にしていました。家族が持っていたおもちゃのようなコンデジを海外に持って行っていましたね。当時はカメラの知識はなかったですが、覚えているコンデジの機種はNikonやFujiFilmとかですね。

そこから就職活動を終えた後に〈Lomography〉を買いました。自分で初めて選んだという感じはありますね。
正直、当時の写真で「これは良いな」と今感じるものはほぼないんですが、Lomographyで撮った写真は黒色が一層真っ黒に映ったことが新鮮で。一般的なフィルムのコンパクトカメラだと、自動で露出が高くなりシャドーが嫌な意味で浮くように感じましたが、Lomographyでは黒がキュッとしまった写りでした。今でいうフィルムのエモさみたいなものも感じましたね。

初めて購入した一眼レフの〈Canon 7D〉で友達を撮影した時のことも記憶に残っています。技術がなくても綺麗に撮れるなと思う反面、ここからどのようにして他の人より上手く撮影できるのだろうといった衝撃がありました。なによりも〈SIGMA DP3 Merrill〉で撮った時の感動が一番大きかったですね。

Q3. 記憶に残る一枚

カメラを持ち始めた頃、桜の時期に妻と当時小さかった娘を撮った一枚が記憶に残っています。
当時、意図したイメージを再現できた写真というより、目の前の光景に目を奪われるままにシャッターを切ったらすごく良い写真が撮れた。そういう一枚だったので記憶に残っていますね。
あまり家族写真を撮らないこともあり、その時の写真はとても大切だなと思います。

Q4. 写真がない世界

先日、仕事用にモニタースピーカーを買い替えました。音の解像感が上がった時の感動って、視覚的な感動以上にビビッドだなと久しぶりに感じたんです。

現代は視覚から受ける情報が溢れているので、耳からの情報の方が「意図して捉えるもの」としての鮮度が高いと思います。なので、写真がない状況になった時、音・音楽から視覚的情報を得ることが増えるんじゃないかなと。

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Image by MIYASHITA NAOKI

Q5. 最近聴いた音楽

映像の仕事をはじめてから、新しい音楽を摂取する機会はすごく減りました。編集している時はそのコンセプトに合った環境に身を置くので他の音を聴けないんですよね。気付くと音楽の取り入れ方がわからなくなったりした時期もありました。最近は、仕事でご一緒するモデルさんに聞いてみたり、映画やWebドラマの音楽をShazamで拾ったり、Spotifyのレコメンドから探したりしています。

学生時代から音楽は好きで、京都にいるときはラジオの〈α-STATION〉や〈FM802〉をよく聴いてました。今はなくなってしまいましたが、京都BALの地下にあった〈ヴァージン・メガストア〉に学校帰りによく行ってました。
最近は、友人のサウンドクリエイターが作ったミックステープや〈AISO〉というシステムを使って自動生成した音楽なども聴いたりしています。

Q6. 普段服を買う場所

服は昔とは全く違って、映像の仕事をするようになってからは、機能性ベースで選ぶようになりました。店舗に行って一度着てみてサイズがあったら、そこの服ばかり買うみたいな。

今は〈and wander〉や〈Graphpaper〉が多いですね。機能性重視になる前から〈Graphpaper〉は好きなブランドです。

Q7. 機材へのこだわり

仕事をはじめた当初は〈Canon 6D〉を使って、その次は〈FujiFilm XT-3〉、今はスチールやムービーを問わず〈Leica SL2-S〉をメインで使用しています。
ムービーだけの依頼だと〈Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro〉だったり、スチールだけだと〈Hasselblad X2D〉を使ったりします。あと作品を撮る時は〈Sigma fp L〉が多かったり。

カメラは今まで20台くらいは使用しています。「少しでも頭の中で表現したいイメージに近づけたい」欲が出てくるんですよ。特に動画性能については、機種が出るごとにわかりやすくスペックが上がっていたので、よくカメラを買い換えてました。

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Image by MIYASHITA NAOKI

Q8. 今後使ってみたいカメラ

今までNikonとオリンパス以外全部使ってきたんですよ。今実は、〈z8〉のモニターをさせてもらってて、初めてNikonに触れました。ただ要素が多すぎて、メニューが分かりにくかったです。
いかに自分が日頃少ない設定で仕事をしているのかを痛感しました。

次のLeicaのSL-3、その次を見込んだ意味では、まだ見ぬSigmaの次世代機に期待を寄せています。

Q9. クリエーターとしての悩み

個人でやっているとリソースが限られます。チームで大きな規模で動くと、予算も融通が効くので、質を追求しやすくなる面はありますね。ただ個人だからこそできる現場もあったりするので必ずしもチームが良い訳ではないんですが、シンプルに羨ましいなとないものねだりをする時はあります。

Q10. これから楽しみなこと

「この道具を使いたい」という道具選びの部分では、自分と相性の良い機材はこの2年くらいで追及できたと思うので、それを使って本当にどこまで自分として質の高いアウトプットができるか楽しみです。

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Image by MIYASHITA NAOKI

INFORMATION

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宮下直樹

みやしたなおき/2015年より、フォトグラファー・シネマトグラファーとして、写真・映像表現を通したブランディング・プロモーションに取り組む。特に言語にとらわれずにモノづくりやブランドの世界観を伝える、ブランデッド・ドキュメンタリーに定評がある。1978年、京都生まれ。

2018, 2020-2023年:KG+
2021年:第8回 BOVA(Brain online video award)一般公募部門 ファイナリスト
2022年:Nikon Presents- Vertical Movie Award 2022 ファイナリスト

cizucu:MIYASHITA NAOKI
Twitter:@naoki_miyashita
Instagram:@naoki_mi

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